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下肢救済センターについて・ご挨拶

全身合併症とは

高齢化社会の発展に伴い我が国の糖尿病患者、透析患者数は増加の一途にあります。また、我が国の透析医療の発展は目覚ましく、他国と比較しても圧倒的に死亡率が低い特徴があります。つまり高齢者の透析患者数が増加する一方で、透析による全身合併症も増加するものと思われます。

全身合併症とは、脳、心大血管、下肢など全身の血管に動脈硬化が急速に進行して起こる致死的な合併症(脳梗塞、心筋梗塞、下肢壊死)のことを言います。静岡県は全国的に見ても健康寿命が長い県であり、浜松市はその静岡県の中でも上位の市であります。

透析患者数は約1,000人程とされており、毎年100人弱が新規導入となっている現状をみますと合併症の早期発見が重要となると考えます。

下肢病変に対する治療の重要性

私たちは、その合併症の中でも下肢病変が重要と考えます。透析患者さんは、非透析患者さんと比べて歩行距離や活動能力の低下が特徴として挙げられます。

その結果下肢症状の早期発見が遅れ、気づいた時には指先に潰瘍や壊死を起こすという、急速に重症化するケースが後を絶ちません。そういった場合は下肢切断を余儀なくされることが多いのですが、透析患者さんの下肢切断後の生命予後は1年で50%です。
つまり1年で2人に1人が亡くなる現状をみると、下肢切断は透析患者さんの歩行機能を損なうだけでなく、生命予後までも損なうことになります。

また、下肢にできる潰瘍は虚血性潰瘍と呼ばれますが、決して下肢血流低下だけで起こるものではありません。潰瘍ができる原因は、巻き爪や陥入爪による傷、靴による物理的刺激でできる傷、暖房器による熱傷などが挙げられ、通常なら治癒するはずの傷に血流不足や糖尿病などが加わり治癒遅延が起こり、感染を併発して一気に悪化をします。
つまり、透析患者さんの爪や足趾に変形がないか、靴のサイズは患者さんに適正なのかなどのフットチェックも重要となります。

当センターでは、傷の治療開始から完治、退院まで一貫して診療致します。傷の治癒には時間を要しますが、一般病棟から長期療養病棟まで有する当院では長期間の入院にも対応し、安心して治療・リハビリに専念出来ます。

下肢救済センター・フットケアチームの発足

こうした当院の特徴を生かし、我々は2019年5月からフットケアチームを発足しました。フットケアチームは医師(血管外科、形成外科、整形外科、消化器内科、腎臓内科)、看護師(フットケア、創傷、透析)、理学療法士(リハビリ、フットウェア作成)、栄養士(NST:栄養サポートチーム)、検査技師(下肢動脈エコー、経皮酸素分圧)で構成されております。

透析患者さんは、入院・外来問わず全員に1回/月のフットケアチェックを行い、気になる患者さんには透析時に毎回checkしております。

チームとしては、毎週水曜日に院内のフットケア回診を行い患者さんの治療方針を全員で検討しております。またチームとしての知識向上と共有のため、1回/月各部門ごとテーマを決めて勉強会を行っており、日々精進しております。こうして1年間しっかりと活動を継続し、重症潰瘍の患者さんの下肢を切断せずに温存して退院して頂けたという実績も積み、十全記念病院下肢救済センターを開設することと致しました。2020年8月から最新の血管造影装置も設置し、更なる成績向上に精進していく次第でございます。

下肢救済センター長  血管外科部長
野村 拓生

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